AIとの協業で求められるスキル
作成日時:2025-07-19
更新日時:2025-08-13
AIの発展により、スキルは不要となるか
No。スキルは必須である。
AIは道具であり、その道具を適切に扱えるかは扱う人間のスキルに依存する。
例えば、プロギタリストが所有するギターを使っても、素人がプロ同様の演奏をすることはできない。
ゴミのようなプロンプトやコンテキストをAIに渡せば、生成される回答や成果物もまたゴミである。
Garbage in, garbage out - Wikipedia
AIを効果的に活用するには
適切なコンテキストを構築し、それをAIに渡すことが重要である。
参考: Context Engineering
人間と同じで、背景が不明だと意図を明確にとらえることはできない。
適切なコンテキストを構築するためには、以下のスキルが求められる。
高度な自然言語能力
- 自身の考えを文章として正しく表す能力
- 汚い文章は読み手の認知負荷を高める
- AIの回答を適切に理解する能力
広範な知識
「認知なくして質問なし」
技術の存在を認知していなければ、AIに最善の提案や質問もできないし、AIの回答も理解できない。
深さよりも広さが重要で、「既知の未知」を増大させなければならない。
仮にとある問題が発生したとする。
問題の解決方法はA案とB案があり、B案がそのコンテキストにおいて最善の解決方法とする。
ある作業者の知識が下記の4パターンのうち、LLMを使用して問題を最善かつ最速で解決できるのはどれか。
- 未知の未知: 解決方法を何も知らない。
- 未知の未知: A案の存在のみ知っている。
- 既知の未知: A案とB案の存在を知っている。
- 既知の既知: A案とB案を熟知している。
4である。
1はAIに対してどのようなプロンプトを記述するか。
関係がありそうなことを、ただ記述する。
何故ならば解決の方向性さえ分からないから。
この場合、問題が解決できるかは未知数である。
運よくB案の回答を引き出すか、別の回答を引き出すか。
それとも解決できないか。
2はAIに対してどのようなプロンプトを記述するか。
A案を使用した問題解決方法をベースとしたプロンプトを記述する。
何故ならば、A案しか知らないから。
優秀なLLMであれば、B案を提案する可能性もある。
しかし、B案を提案できるのは問題のコンテキストがLLMへ十分に与えられている時に限る。
また、B案を提案されても存在を知らない作業者が内容を理解するには時間がかかる。
故に2は「最善ではない問題解決」か「最善の問題解決はできるが完了が遅い」のいずれかとなる。
3はLLMに対してどのようなプロンプトを記述するか。
A案B案のどちらがいいか、というプロンプトを記述する。
その場合において、LLMは最善のB案を提示する可能性が高い。
また、作業者はB案の事前知識を持っているため、2に比べて早くB案の詳細を理解する。
故に2より早く最善の問題解決を行える。
4はAIに対してどのようなプロンプトを記述するか。
B案を使用した問題解決方法をベースとしたプロンプトを記述する。
何故ならば、B案が最善であることを理解しているから。
故に3より早く最善の問題解決を行える。
冒頭で『「既知の未知」を増大させなければならない』と記載したが、上記の例を見ると「既知の既知」を増大させるべきではないだろうか。
その通りで、LLMを最大限利用するには「既知の既知」の領域を大きくするほうがいい。
しかし「既知の既知」の増大には時間がかかる。
その領域を広く深く学ばなければならないためである。
故に「既知の未知」を増大させる。
「知っている」なら詳しくなくてもLLMに質問できるから。
「知っている」なら詳しくなくてもLLMに提案できるから。
深く理解していなくとも、LLMから”最善”の回答を得る可能性が増える。
「認知なくして質問なし」
現状を分析する能力
- 求められているものを正確に把握し、コンテキストに含める能力。
常に求められる普遍的なスキル
これらのスキルは対AIに限らず、対人間においても同様に求められる。
設計書やチャットの文章が滅茶苦茶ならば、意図を明確に伝えられない。
知識が無ければ顧客に良い提案をできない。
つまり、これらは昔から求められている普遍的なスキルである。
仮にAIの発展によってシステムエンジニアという職業がなくなったとしても、ここで培ったスキルは他の領域で役に立つ。